「家族に歯周病の人がいると、自分にもうつるのでしょうか」。歯周病に関係する一部の細菌は、唾液などを介して同居する家族の間で共有される可能性が報告されています。ただし、細菌が口に入ったことと、その人が歯周病を発症・進行することは同じではありません。風邪のように、接触しただけで一律に発症する病気として捉えるのは正確ではありません。
歯周病は細菌だけで決まる病気ではありません
歯周病は、歯の周囲にたまったプラークに対する身体の反応によって、歯ぐきや歯を支える組織に炎症が起きる病気です。発症や進行には、プラークの蓄積だけでなく、喫煙、糖尿病、セルフケア、年齢、服薬、体質など複数の要因が関わります。
そのため、家族から同じ種類の細菌が検出されたとしても、全員が同じ時期に同じ程度の歯周病になるとは限りません。反対に、家族に歯周病と診断された人がいなくても、自分の検査が不要になるわけではありません。
家族間で細菌が共有される可能性はあります
家族や同居者を調べた研究では、歯周病に関係する一部の細菌が複数の家族から検出され、同じ遺伝子型が確認された例があります。一方で、研究ごとに検出方法や結果に幅があり、細菌が一時的に口へ入ったのか、長く定着したのかを区別しにくい場合もあります。
現在の知見から言えるのは「細菌の共有は起こりうるが、それだけで発症を予測することはできない」ということです。家族との食事や日常の触れ合いを過度に避ける必要はありません。
食器の消毒より、一人ひとりの状態確認を
歯周病予防の中心は、家族の食器を分けたり日常生活を制限したりすることではありません。次の基本を、家族それぞれのお口に合わせて続けることが大切です。
- 歯ブラシを共用しない
- 歯ブラシだけでは届きにくい場所に、フロスや歯間ブラシを使う
- 歯ぐきの出血、腫れ、口臭、歯の動きなどを放置しない
- 歯周ポケット、出血、レントゲンなど必要な検査を受ける
- 喫煙や糖尿病など、進行に関わる要因も確認する
道具の種類や受診間隔は全員同じではありません。歯間の広さ、歯並び、過去の治療、歯周病の進行度に合わせて調整します。
家族が歯周病と診断されたとき
同居する方に歯周病が見つかったからといって、家族全員が同じ治療を受ける必要はありません。ただ、長く歯科検査を受けていない方や、出血・腫れ・口臭などがある方は、自分の状態を確認するきっかけにしてください。歯周病は初期に自覚症状が乏しいことがあるため、症状の有無だけでは判断できません。
当院では、歯周検査、写真、レントゲンなどを用いて現在の状態を確認し、担当歯科衛生士がセルフケアと経過を継続して見ます。詳しくは歯周病治療と予防歯科・MTMをご覧ください。
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