予防歯科・MTM

「去年と比べてどう?」経年記録と再評価が予防に役立つ理由

医療監修 坪川 正樹(院長・歯科医師) 最終確認日:

歯科医院で「問題ありません」と言われても、何を根拠に判断したのか分からないと不安が残ることがあります。反対に、写真や検査値を見ながら「前回より出血が減った」「この部分は変化がない」と説明されると、現在地を具体的に理解しやすくなります。予防では、その日の状態だけでなく、同じ視点の記録を時間の中で比べることが大切です。

一度の診察だけでは分からない変化があります

歯や歯ぐきの状態は、年齢、セルフケア、治療、噛む力、全身状態、生活の変化などの影響を受けます。見た目が似ていても、以前と比べて歯周ポケットが深くなっている、出血する場所が変わった、詰め物の周囲に変化が生じた、といったことがあります。

一方、一枚の写真や一つの数値だけで原因や将来を断定することもできません。症状、診察、複数の検査、過去の経過を合わせて評価します。

比較の基準になる主な記録

必要な記録は患者さんの年齢や症状によって異なりますが、次のような資料を比較に使います。

  • 口腔内写真による歯、歯ぐき、修復物、清掃状態
  • 歯周検査による歯周ポケット、出血、歯の動揺など
  • レントゲンによる歯根、歯と歯の間、歯を支える骨など
  • むし歯、詰め物、被せ物、噛み合わせの診察記録
  • セルフケア、食習慣、服薬、喫煙などの変化

検査は多ければよいわけではありません。診断、説明、経過比較に必要かどうかを考えて選びます。

記録は患者さんへの説明にも使います

口の中は鏡だけでは見えにくいため、写真や画像を同じ画面で確認すると、どこに問題があり、何を見守るのかを共有しやすくなります。治療前後の比較は、改善した点だけでなく、追加の対応が必要な点を考えるためにも使います。

「変化がない」ことも大切な情報です。ただし、一定期間変化がないから将来も必ず安定する、という保証ではありません。状態とリスクに応じて確認方法や受診間隔を見直します。

再評価で計画を更新します

予防計画や治療計画は、一度決めたら変えないものではありません。セルフケアへの反応、歯ぐきの炎症、むし歯の進行、生活上の希望などを再評価し、必要に応じて方法や優先順位を変更します。

メインテナンスでも、単に清掃を繰り返すのではなく、歯みがきの状態、歯ぐき、歯周ポケット、噛み合わせ、義歯や修復物などを確認します。検査結果に変化があれば、歯科医師と歯科衛生士が情報を共有して対応を検討します。

担当制で「点」を「線」にします

当院では、すべての患者さんに担当歯科衛生士がつきます。同じ担当者が継続して関わることで、数値だけでは表しにくいセルフケアの悩みや生活上の変化も把握しやすくなります。ただし、担当者一人だけで判断するのではなく、歯科医師を含むチームで記録を共有します。

成人初診では75分を取り、相談、口腔内写真12枚、デンタルレントゲン12枚、顔貌写真、歯周検査、唾液検査を行います。2回目は、検査結果の説明30分と口腔衛生指導30分です。初診の詳しい内容は初めての方へ、継続管理の考え方は予防歯科・MTMをご覧ください。

過去の資料がない方も現在地から始められます

長く受診していなかった方や、以前の歯科医院の資料がない方も受診できます。まず現在の状態を記録し、今後の比較の基準をつくります。気になる症状や過去の治療歴が分かる場合はお伝えください。

成人の新患・セカンドオピニオンはWeb予約をご利用いただけます。強い痛みや腫れがある方、小児歯科、現在通院中の方、予約変更・キャンセルは0467-74-4567へお電話ください。

参考資料

この記事は一般的な情報提供を目的とし、個別の診断や治療の代わりになるものではありません。症状や治療の適応は診察結果により異なります。

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