「毎日みがいているのに、またむし歯が見つかった」「甘い物を食べる人が、必ずむし歯になるわけではないのはなぜ?」と疑問に感じることがあります。むし歯のなりやすさは、一つの原因や「歯が弱い体質」だけで決まるものではありません。飲食、歯垢、唾液、フッ化物、歯の形や過去の治療など、複数の条件が重なって変わります。
むし歯は「歯から失われるもの」と「戻るもの」のバランスで進みます
歯の表面にある細菌は、飲食物に含まれる糖やでんぷんを利用して酸をつくります。酸にさらされると歯からミネラルが失われますが、唾液に含まれるミネラルやフッ化物は、その修復を助けます。
酸による影響が繰り返され、失われる量が戻る量を上回る状態が続くと、初期の変化から穴のあるむし歯へ進むことがあります。したがって、一度甘い物を食べたことだけで将来を決めるのではなく、日常の中でどちらへ傾きやすいかを考える必要があります。
むし歯リスクを分けて考える5つの視点
むし歯の背景を整理するときは、主に次のような点を確認します。
- 飲食の内容と頻度:糖を含む飲食物を口にする回数や、少しずつ長時間飲食する習慣
- 歯垢とセルフケア:歯ブラシや歯間清掃が届きにくい場所、歯みがきの方法
- 唾液:分泌量や口の乾燥、服薬や体調など、唾液の働きに関係する条件
- フッ化物:フッ化物配合歯みがき剤を、年齢や状態に合う方法で継続しているか
- 歯と口の状態:奥歯の溝、歯と歯の間、露出した歯根、矯正装置、詰め物や被せ物の周囲など
どれか一つに当てはまれば必ずむし歯になる、という意味ではありません。反対に、歯みがきだけを頑張れば、ほかの条件を確認しなくてもよいとも限りません。
甘い物は「量」だけでなく「回数と時間」にも目を向けます
砂糖を完全に避けることだけが現実的な対策とは限りません。おやつや甘い飲み物を何度も口にすると、歯が酸にさらされる機会が増えます。同じ内容でも、時間を決めて飲食する場合と、長時間だらだらと口にする場合では、お口の環境が異なります。
まずは間食や飲み物の記録を取り、「何を食べたか」だけでなく「一日に何回、どのくらいの時間をかけたか」を振り返ると、変えやすい点を見つけやすくなります。持病や栄養管理がある方は、自己判断で食事を大きく変えず、主治医や管理栄養士とも相談してください。
家庭では、続けられる対策を組み合わせます
基本になるのは、フッ化物配合歯みがき剤を適切に使うこと、歯と歯の間を含めて歯垢を取り除くこと、飲食の回数を整えることです。歯みがき剤の濃度や量は年齢によって異なるため、製品表示を確認し、小児では保護者が見守ってください。
口の乾燥が続く場合は、水分を取るだけで済ませず、服薬や病気との関係も含めて歯科医師・医師へ相談します。セルフケア用品を増やすほどよいわけではなく、磨き残しや生活に合わせて必要な方法を選ぶことが大切です。
歯科医院では、検査と経過から個別の対策を考えます
むし歯の有無は、症状の聞き取りと口腔内診査を行い、必要に応じてレントゲン等を用いて確認します。唾液検査は、予防方法を考えるための情報の一つですが、その結果だけで将来のむし歯を断定する検査ではありません。
当院の成人初診では、相談、口腔内写真12枚、デンタルレントゲン12枚、顔貌写真、歯周検査、唾液検査を行います。唾液検査は必須で3,900円(税込)です。検査資料をもとに現在地を共有し、担当歯科衛生士と一緒に続けやすい方法を考えます。詳しい流れは初めての方へ、当院の予防の考え方は予防歯科・MTMをご覧ください。
痛みがなくても、繰り返す場合はご相談ください
初期のむし歯は自覚症状がないことがあります。歯が痛い、冷たい物や甘い物でしみる、欠けた、腫れたといった症状がある場合は、記事だけで判断せず診査を受けてください。症状がなくても、むし歯を繰り返す、口の乾燥が気になる、セルフケアが合っているか分からない場合は、リスクを一つずつ整理します。
成人の新患・セカンドオピニオンはWeb予約をご利用いただけます。強い痛みや腫れがある方、小児歯科、現在通院中の方、予約変更・キャンセルは0467-74-4567へお電話ください。